はっきりしたストレスの原因があり、それに反応して情緒的・行動的な症状が現れる状態を適応障害といいます。うつ病や不安障害と似た症状が出ますが、ストレスの原因(仕事・人間関係・環境変化など)と症状の関係が明確な点が特徴です。
診断基準のポイント
以下の条件を満たす場合に適応障害と診断します。
- はっきりとしたストレス因子の発生から3ヶ月以内に症状が現れた
- 通常の反応の範囲を超えた苦痛がある、または日常機能(仕事・学業・人間関係)に支障が出ている
- ストレス因子がなくなった後6ヶ月以内に症状が消失する
- 他の精神疾患(うつ病・PTSD等)の診断基準を満たさない
うつ病との違い
| 適応障害 | うつ病 | |
|---|---|---|
| 原因との関係 | ストレス因子が明確 | 原因がなくても発症しうる |
| ストレス除去後 | 6ヶ月以内に改善 | 原因除去だけでは改善しにくい |
| 症状の重さ | うつ病の診断基準未満 | 診断基準を満たす |
ただし、適応障害が長引くとうつ病に移行することもあります。
治療:ストレス原因の除去が第一
最も効果的な介入はストレス因子の除去または軽減です。職場環境の改善・休職・異動・人間関係の整理などが含まれます。薬はあくまで補助的な役割です。
認知行動療法では、ストレスへの対処法(コーピング)を学び、問題解決スキルを高めます。
休職診断書について
適応障害と診断された場合、仕事を続けることが回復の妨げになると主治医が判断すれば休職診断書を作成できます。「適応障害」での休職は一般的であり、傷病手当金を受給しながら休養することが可能です。
参考文献・出典
- American Psychiatric Association. DSM-5 Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. APA. 2013.
- Casey P. Adjustment disorder: new developments. Current Psychiatry Reports. 2014.
- 日本精神神経学会. 精神科医が知っておきたい適応障害の実態. 精神神経学雑誌. 2019.
- Strain JJ, Diefenbacher A. The adjustment disorders: the conundrums of the diagnoses. Comprehensive Psychiatry. 2008.
- Greenberg WM, et al.. Adjustment disorder as an admission diagnosis. American Journal of Psychiatry. 1995.
免責事項:本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の個人に対する診断・治療を目的とするものではありません。体調に不安がある方は必ず医療機関を受診してください。
著者:長友 恭平(精神保健指定医 / よつば加納クリニック 院長)|最終更新:2026年4月
著者:長友 恭平(精神保健指定医 / よつば加納クリニック 院長)|最終更新:2026年4月

