便秘症の診断と治療|精神科医が解説する下剤の使い方と精神科薬との関係

身体症状・心身症

「3日に1回しか出ない」「毎日出ても残便感がある」——便秘の悩みは非常に多いですが、「便秘症」という診断にはしっかりとした基準があります。精神科・心療内科では抗精神病薬や抗うつ薬の副作用として便秘が多く、精神科医が積極的に関わる疾患です。

便秘症の診断基準(Rome IV基準)

以下の6項目のうち2項目以上が過去3ヶ月に存在し、症状が6ヶ月以上前から始まっていることが条件です。

  • 排便の25%以上でいきむ
  • 排便の25%以上で兎糞状または硬い便(ブリストルスケール1〜2)
  • 排便の25%以上で残便感がある
  • 排便の25%以上で肛門・直腸の閉塞感がある
  • 排便の25%以上で用手的な排便介助が必要(摘便など)
  • 自発排便が週3回未満

毎日排便があっても、いきみが強い・残便感があるなどの症状があれば便秘症と診断される場合があります。

精神科薬と便秘

精神科薬の多くに便秘という副作用があります。特にクロザピンは重篤な腸閉塞(イレウス)を引き起こすリスクがあり、排便管理が必須です。抗コリン作用を持つ薬(三環系抗うつ薬・一部の抗精神病薬)で腸管運動が低下します。

下剤の種類と使い方

下剤は「非刺激性下剤」を基本とし、「刺激性下剤」はレスキューに限定することが重要です。

種類 代表薬 使い方
浸透圧性下剤(非刺激性) 酸化マグネシウム(マグミット)・マクロゴール(モビコル) 耐性なし・長期服用向き
上皮機能変容薬 ルビプロストン(アミティーザ)・リナクロチド(リンゼス) 腸液分泌促進・難治性に有効
刺激性下剤 センナ(プルゼニド)・ピコスルファート(ラキソベロン) 即効性あり。連用すると耐性・依存→レスキューのみ

⚠ 酸化マグネシウムをお使いの方へ:腎機能が低下している方(高齢者・腎疾患のある方)では、マグネシウムが体内に蓄積して高マグネシウム血症(血圧低下・筋力低下・意識障害など)を引き起こすリスクがあります。定期的な血液検査で腎機能を確認してください。

緊急を要するサイン

腹部の激しい痛み・嘔吐・数日間まったく排便・排ガスがない場合は腸閉塞の可能性があります。すみやかに医療機関を受診してください。

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参考文献・出典

  1. Drossman DA. Rome IV: Functional Gastrointestinal Disorders. Gastroenterology. 2016.
  2. 日本消化管学会. 便通異常症診療ガイドライン2023. 南江堂. 2023.
  3. Tack J, et al.. Diagnosis and treatment of chronic constipation – a European perspective. Neurogastroenterology and Motility. 2011.
  4. Ford AC, et al.. American College of Gastroenterology monograph on management of irritable bowel syndrome. American Journal of Gastroenterology. 2018.
  5. 日本精神神経学会. 向精神薬による消化器系副作用の管理. 精神神経学雑誌. 2018.
免責事項:本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の個人に対する診断・治療を目的とするものではありません。体調に不安がある方は必ず医療機関を受診してください。
著者:長友 恭平(精神保健指定医 / よつば加納クリニック 院長)|最終更新:2026年4月
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