パーソナリティ障害は、その人の感じ方・考え方・行動パターンが文化的な期待から著しくずれており、本人や周囲が長期的に困難を抱えている状態です。人口の約10%が該当するとされており、決して珍しい病気ではありません。
「パーソナリティ障害=悪い人」ではありません。多くの場合、幼少期の環境(虐待・ネグレクト・不安定な養育)が形成に関わっており、本人も深く苦しんでいます。
A群:奇妙・風変わりなタイプ
妄想性・スキゾイド・統合失調型の3種類があります。他者への根拠のない不信・感情表現の乏しさ・奇妙な考え方が特徴です。統合失調症の「前段階」に見えることもありますが、別の疾患です。
B群:演技的・感情的なタイプ
境界性パーソナリティ障害(BPD)
臨床で最も多く目にします。特徴は以下の通りです。
- 見捨てられ恐怖:相手が少しでも離れようとすると極度に不安になる
- 理想化と価値下げ:「最高の人」→「最低な人」への急激な切り替わり(分裂)
- 衝動的行動:過食・浪費・自傷行為
- 感情の激しい波:数時間単位で気分が大きく揺れ動く
- 慢性的な空虚感
自己愛性・演技性・反社会性
自己愛性PDは誇大な自己像と共感の欠如が特徴です。演技性PDは注目を集めようとする行動が目立ちます。反社会性PDは他者の権利侵害・良心の呵責の乏しさが特徴です。
C群:不安・恐れが強いタイプ
回避性(批判・拒絶への恐れ)・依存性(他者への服従)・強迫性(完璧主義・秩序へのこだわり)の3種類があります。C群は不安障害との関連が深いです。
治療:精神療法が中心
パーソナリティ障害を根治する薬はありません。治療の中心は精神療法です。
- 弁証法的行動療法(DBT):BPDに最もエビデンスが確立。感情調節・苦悩耐性・対人関係スキルを学ぶ
- メンタライゼーション療法(MBT):自分と他者の心の状態を理解する能力を高める
- スキーマ療法:幼少期から形成された不適切な思考パターンを修正する
治療には年単位の時間がかかります
パーソナリティ障害の治療は年単位かかることが多いです。焦らず継続することが大切で、適切な治療を続けることで多くの方が日常生活を安定して送れるようになります。
⚠ 自傷衝動・希死念慮を感じている方へ
自傷したい気持ちや死にたい気持ちが強いときは、一人で抱え込まないでください。今すぐ以下へご連絡ください。
・よりそいホットライン:0120-279-338(無料・24時間)
・いのちの電話:0120-783-556(無料・24時間)
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参考文献・出典
- American Psychiatric Association. DSM-5 Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. APA. 2013.
- Torgersen S. Prevalence, sociodemographics, and functional impairment. Handbook of Personality Disorders. 2001.
- Linehan MM. Cognitive-Behavioral Treatment of Borderline Personality Disorder. Guilford Press. 1993.
- Bateman A, Fonagy P. Mentalization-Based Treatment for Borderline Personality Disorder: A Practical Guide. Oxford University Press. 2006.
- Paris J. Treatment of Borderline Personality Disorder: A Guide to Evidence-Based Practice. Guilford Press. 2008.
免責事項:本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の個人に対する診断・治療を目的とするものではありません。体調に不安がある方は必ず医療機関を受診してください。
著者:長友 恭平(精神保健指定医 / よつば加納クリニック 院長)|最終更新:2026年4月
著者:長友 恭平(精神保健指定医 / よつば加納クリニック 院長)|最終更新:2026年4月
