うつ病で休職するときの手順・診断書の取り方|精神科医が解説

気分障害

👉 うつ病の全体像については「うつ病とは?症状・原因・治療を精神科医が解説」をご覧ください。

うつ病で「もう出勤できない」「毎朝起き上がれない」という状態になったとき、休職は回復のために重要な選択肢です。しかし「休職ってどうやるの?」「診断書は?」「お金は?」と不安も大きいでしょう。

この記事では、うつ病で休職する場合の手順を、受診から復職まで一つひとつ解説します。

STEP 1:まず精神科・心療内科を受診する

休職の出発点は医師の診察です。

  • 「最近眠れない」「仕事に行けない」「涙が止まらない」など、今の状態をそのまま伝えてください
  • 初診でも、状態によっては当日〜数日以内に診断書を発行できます
  • 「休職が必要」と言い出しにくい場合は、「仕事に支障が出ていて、休職も選択肢として考えたい」と伝えれば大丈夫です

受診前に準備しておくと便利なこと

初診では限られた時間で状態を把握する必要があります。以下を事前にメモしておくと、医師も状況を正確に把握しやすくなります。

  • 症状が始まった時期・きっかけ(職場の変化、出来事など)
  • 現在困っていること(眠れない、食欲がない、涙が出る、など)
  • これまでの精神科・心療内科への受診歴、服用中の薬
  • 仕事の状況(休み始めた日、欠勤日数など)

メモを忘れた場合でも問題ありません。診察の中で少しずつ話してもらえれば大丈夫です。

STEP 2:診断書を取得する

医師が「就労困難」と判断した場合、診断書(休業が必要である旨の医師意見書)を作成します。

  • 一般的な記載内容:病名(うつ病・うつ状態など)、休業が必要な期間、発行日
  • 休業期間は通常1〜3か月から開始し、経過を見て延長することが多い
  • 費用は医療機関により異なりますが、3,000〜5,000円程度(保険適用外)が一般的

診断書の「病名」について

診断書に記載される病名は「うつ病」「うつ状態」「適応障害」などさまざまです。病名の表記は医師が判断しますが、会社への提出に際して「詳しい病名を知られたくない」という場合は、医師に相談することで「精神疾患」「神経症性疾患」などの表現に変更できることもあります。ただし、傷病手当金の申請には正確な診断が必要ですので、保険会社提出書類とは内容が異なる場合があります。

STEP 3:会社に休職を申し出る

診断書を取得したら、会社に提出します。

  • 提出先は直属の上司または人事部門(会社の就業規則を確認)
  • 伝え方の例:「体調不良で医師から休養が必要と診断されました。診断書をお渡しします」
  • 上司に直接伝えることが難しい場合は、人事部・産業医・メールでも構いません
  • 法律上、休職は就業規則に基づく制度です。会社の制度を確認しましょう

会社から言われやすい言葉と対処法

「もう少し様子を見ては」「今は忙しいので」と言われることがあります。しかし、医師が「休養が必要」と判断した場合、その意見を優先することが基本です。「診断書があります」とだけ伝え、議論に応じる必要はありません。それでも会社が困難な場合は、産業医や労働基準監督署に相談することもできます。

STEP 4:傷病手当金を申請する

休職中の生活費は傷病手当金でカバーできます。

項目 内容
支給額 標準報酬日額の約3分の2(おおまかに月給の3分の2)
支給期間 通算最長1年6か月(2022年1月〜通算化)
条件 ①健康保険加入 ②連続3日以上の休業(待期期間)③医師の証明
申請先 加入している健康保険組合・協会けんぽ
注意 国民健康保険には原則として傷病手当金制度がありません

申請書には医師の意見欄があります。通院時に主治医に記入を依頼してください。

傷病手当金の申請タイミングと注意点

  • 申請は月ごとに行うのが一般的です(会社によっては手続きを代行してくれる場合もあります)
  • 申請書は協会けんぽのホームページからダウンロードできます
  • 「待期期間」として、最初の3日間(連続した欠勤日)は支給されません。4日目から支給対象になります
  • 退職後も条件を満たせば受給を継続できます(退職前に1年以上の被保険者期間がある場合)

STEP 5:休職中の過ごし方

  • 最初の1〜2週間:とにかく休む。何もしなくてよい。「何かしなければ」と焦る必要はありません
  • 中期(1〜2か月目):生活リズムを整える。朝決まった時間に起き、日光を浴びる
  • 後期(3か月目以降):外出・軽い運動を増やす。リワーク(復職支援プログラム)の利用を検討
  • 定期的な通院:2〜4週間に1回のペースで主治医の診察を受ける

休職中に「やってはいけないこと」

回復のために避けた方がよいことがあります。

  • 「早く治らなければ」と自分を追い込む:焦りはうつ病を悪化させます。「今日できたこと」に目を向ける習慣を
  • 休職理由の解決策を一人で考え続ける:仕事の問題は休職中に解決できるものではありません。まずは休むことに集中する
  • SNSやニュースを見すぎる:他者との比較や過剰な情報はストレスになることがあります
  • アルコールで気分を紛らわす:うつ病とアルコールは相性が悪く、症状を悪化させます

使える制度一覧

  • 傷病手当金:月給の約2/3を最長1年6か月
  • 自立支援医療(精神通院医療):医療費自己負担を3割→1割に軽減。通院中に申請可能
  • 障害年金:うつ病が長期化し就労困難な場合に検討(初診日から1年6か月後に申請可能)
  • リワークプログラム:医療機関や障害者職業センターで復職に向けたリハビリを行う

復職のタイミングと注意点

「もう大丈夫かな」と感じても、復職は慎重に判断することが大切です。うつ病では「寛解期」に一時的に元気に感じることがありますが、職場に戻るとストレスで再燃することが少なくありません。

  • 復職の目安:毎日ほぼ同じ時間に起きられる、2〜3時間の集中した活動ができる、職場のことを考えても強い不安が出ない
  • 主治医の判断を仰ぐ:「復職したい」と自分で判断する前に、必ず主治医と相談する
  • 段階的な復職:最初は短時間勤務や軽作業から始める「試し出勤」制度を活用する(会社によって制度が異なります)
  • リワークの活用:復職前にリワークプログラムを経由することで、再発率が下がるとされています

よくある質問

Q:休職は会社にバレますか?

休職自体は上司・人事に伝わりますが、病名の詳細を同僚全員に知らせる義務はありません。「体調不良で休養中」とだけ伝えてもらうことが可能です。産業医との面談は守秘義務があります。

Q:休職中に転職活動はできますか?

法律上の禁止はありませんが、傷病手当金は「就労不能」が前提です。活動を始めるタイミングは主治医と相談しましょう。

Q:休職期間はどのくらいが一般的ですか?

うつ病での休職は3〜6か月が多いですが、重症度や職場環境により異なります。焦って復帰すると再発リスクが高まるため、十分な回復を優先してください。

Q:休職を繰り返すと解雇されますか?

会社の就業規則に「休職期間満了による自動退職」の規定がある場合、規定の期間を超えると退職になる可能性があります。ただし、即解雇は法律上容易ではなく、多くの場合は段階的な対応が取られます。不安な場合は社会保険労務士や労働相談窓口に問い合わせることをお勧めします。

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まとめ:よつば加納クリニックより

  • 受診 → 診断書取得 → 会社に提出 → 傷病手当金申請 の流れ
  • 傷病手当金は月給の約2/3、最長1年6か月
  • 自立支援医療で通院費も軽減できる
  • 休職中はまず休む。焦らず生活リズムを整えることが回復の近道
  • 復職は主治医と相談しながら、段階的に行うことが再発予防の鍵

「休職していいのだろうか」「会社に迷惑をかける」と感じる方は多いですが、回復せずに無理をして働き続けた場合のリスクの方が大きいことが多いです。休息は回復の第一歩です。迷ったときは、一度専門家に相談してみてください。

【免責事項】本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状が続く場合や気になることがある場合は、医療機関を受診してください。

著者:精神保健指定医・長友恭平(よつば加納クリニック院長)

参考文献

  • 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(改訂版 2020年)
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金について」
  • 日本うつ病学会「うつ病治療ガイドライン 第2版」

この記事の著者

長友 恭平(ながとも きょうへい)

精神保健指定医 / よつば加納クリニック 院長(宮崎県)
宮崎大学医学部卒業|専門:心療内科・精神科

よつば加納クリニック

心療内科・精神科|宮崎県

記事の内容についてご不安な方・受診をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

🩺 院長コメント(長友 恭平)

「休む必要がある状態」にある方には正直に休職してください、と伝えますし、休む必要が乏しい方にはその旨ご説明します。休職の判断に迷っている方は、まず診察にお越しいただければ一緒に考えます。

ちなみに、決定すること・考えること自体もコストです。毎日の食事選びをラクにしたい方は時短×健康ブログもどうぞ。

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