双極性障害と仕事を両立するには|休職・復職・職場への伝え方を精神保健指定医が解説

気分障害

双極性障害を抱えながら働くということ

双極性障害は治療を継続すれば多くの方が仕事を続けられる病気です。しかし、気分の波が仕事に影響することがあり、不安を感じる方も少なくありません。

ここでは、休職の判断基準、復職のステップ、職場との関わり方について解説します。

👉 双極性障害の基礎知識はこちら(ピラー記事)

休職を検討すべきサイン

  • 躁状態で衝動的な行動が止められない(大量の買い物、攻撃的な発言など)
  • うつ状態で出勤が困難な日が週に2日以上続いている
  • 服薬を自己中断してしまっている
  • 職場の人間関係が極端に悪化している

休職は「負け」ではなく、治療に集中するための戦略的な選択です。

休職中にやっておくこと

  1. 主治医の指示に従い服薬を継続(「調子が良い」と感じても自己中断しない)
  2. 生活リズムの安定(起床・就寝時刻を一定に → 対人関係社会リズム療法の考え方)
  3. 気分の記録(1〜10段階で毎日記録 → 波のパターンが見えてくる)
  4. 傷病手当金の申請(標準報酬日額の2/3、最長18ヶ月支給)

復職のステップ

段階期間目安内容
①準備期2〜4週通勤練習・リワークプログラム参加
②試し出勤2〜4週短時間勤務・軽作業から開始
③段階的復帰1〜3ヶ月業務量を徐々に増やす
④通常勤務定期通院を継続しながらフル勤務

リワークプログラム(復職支援プログラム)は、精神科デイケアや自立訓練施設で受けられます。復職後の再休職率を下げる効果が報告されています。

職場に病気を伝えるべきか

これは非常に悩ましい問題です。法的には病名を伝える義務はありませんが、合理的配慮(残業制限、業務量調整など)を得るには、ある程度の開示が必要な場合もあります。

  • 産業医には伝える → 守秘義務があるため安心
  • 上司には「体調管理のために通院中」程度の説明でOK
  • 同僚には本人の判断で → 無理に伝える必要はない

使える制度・支援

  • 自立支援医療:通院医療費の自己負担が1割に軽減
  • 精神障害者保健福祉手帳:税控除・交通費割引など
  • 障害者雇用枠:手帳取得後に利用可能
  • 就労移行支援:一般企業への就職をサポートする福祉サービス

参考文献

  • 日本うつ病学会「双極性障害(躁うつ病)の治療ガイドライン」第3版(2023年)
  • 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(2020年改訂)
  • Frank E. Treating Bipolar Disorder: A Clinician’s Guide to Interpersonal and Social Rhythm Therapy. Guilford Press, 2005.

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よつば加納クリニック(心療内科・精神科)

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※ 電話が難しい方は、チャット相談(困りごとSOS)もご利用いただけます。

本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状が続く場合や気になることがある場合は、医療機関を受診してください。

著者:精神保健指定医・長友恭平(よつば加納クリニック院長)

長友 恭平(ながとも きょうへい)

精神保健指定医|よつば加納クリニック院長

🩺 院長コメント(長友 恭平)

双極性障害の方が仕事を続けるためには、睡眠の確保と過労の回避が最優先事項です。躁転を防ぐために「調子がいいときこそ無理をしない」という意識が大切で、これを本人と職場の両方に理解していただくことが重要です。

ちなみに、決定すること・考えること自体もコストです。毎日の食事選びをラクにしたい方は時短×健康ブログもどうぞ。

仕事を続けるために使える制度・サポート

障害者雇用枠について

双極性障害で精神障害者保健福祉手帳を取得している場合、障害者雇用枠(障害者雇用促進法)での就労が選択肢になります。一般雇用より配慮が得られやすく、残業軽減・通院への理解が得られやすいメリットがあります。手帳の取得は任意であり、職場への開示義務もありません。

就労移行支援・リワークプログラム

復職が難しい場合、就労移行支援事業所での訓練や、医療機関が提供するリワークプログラムの利用が選択肢になります。リワークでは模擬業務や集団認知行動療法を通じ、再発を防ぎながら復職準備を進めます。主治医と相談のうえ検討してみてください。

職場への伝え方のポイント

全てを開示する必要はありません。「体調管理が必要な持病がある」程度の伝え方で、通院への配慮を求めることも可能です。産業医がいる職場では、産業医に相談すると職場と調整してもらえる場合があります。

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