抗うつ薬の種類と副作用をわかりやすく解説|SSRI・SNRI・NaSSAの違い

気分障害

👉 うつ病の全体像については「うつ病とは?症状・原因・治療を精神科医が解説」をご覧ください。

うつ病や不安障害の治療で処方される抗うつ薬。「脳に作用する薬」と聞くと不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、正しく使えば回復を大きく助けてくれる治療の柱です。

この記事では、現在日本で使われている主な抗うつ薬の種類・副作用・選び方のポイントを整理します。

抗うつ薬の4つの主なグループ

分類 代表的な薬 主な特徴
SSRI
(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
セルトラリン〔ジェイゾロフト〕
エスシタロプラム〔レクサプロ〕
パロキセチン〔パキシル〕
フルボキサミン〔デプロメール/ルボックス〕
第一選択として最も多く処方される。副作用が比較的少なく、不安障害にも効果がある
SNRI
(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
デュロキセチン〔サインバルタ〕
ベンラファキシン〔イフェクサーSR〕
ミルナシプラン〔トレドミン〕
セロトニンに加えノルアドレナリンにも作用。意欲低下が強い場合や痛みを伴ううつに使われることがある
NaSSA
(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
ミルタザピン〔リフレックス/レメロン〕 眠気・食欲増加が出やすい。不眠や食欲低下が目立つうつに向く。効果発現がやや速い
三環系・四環系 アミトリプチリン〔トリプタノール〕
クロミプラミン〔アナフラニール〕
ミアンセリン〔テトラミド〕
古くからある薬。口渇・便秘・眠気などの副作用が強めだが、重症例・難治例で効果を発揮することがある

副作用と対処法

SSRI・SNRIに多い副作用

  • 吐き気・胃のむかつき:飲み始めの1〜2週間に出やすく、多くは自然に軽減します。食後服用で和らぐことがあります
  • 下痢・便秘:セロトニンは腸にも作用するため起きることがあります
  • 性機能障害:SSRIで比較的多い副作用です。気になる場合は主治医に相談してください
  • 離脱症状:急にやめるとめまい・耳鳴り・しびれ感が出ることがあります。自己判断での急な中断は避け、必ず医師の指示で減薬してください

NaSSA(ミルタザピン)に多い副作用

  • 眠気:強めに出ることが多く、就寝前の服用が一般的です
  • 体重増加:食欲亢進により起きることがあります。体重の推移を定期的に確認しましょう

三環系に多い副作用

  • 口渇・便秘・排尿困難(抗コリン作用)
  • 起立性低血圧(立ちくらみ)
  • 眠気

「抗うつ薬は依存する」は誤解です

抗うつ薬は依存性薬物ではありません。急にやめると離脱症状が出ることがありますが、これは「依存」ではなく「身体が薬に慣れた状態からの調整反応」です。医師の指示のもと、数週間〜数か月かけてゆっくり減薬すれば、安全にやめることができます。

効果が出るまでの期間

抗うつ薬は飲み始めてすぐには効きません。

  • 効果実感まで:通常2〜4週間(個人差あり)
  • 十分な効果:6〜8週間かかることもある
  • 治療継続の目安:症状が改善してからも6か月〜1年以上の維持療法が推奨されます(再発予防のため)

「効かないからやめたい」と思っても、まずは主治医に相談してください。薬の種類や量を調整することで改善する場合があります。

薬の選び方——主治医と相談するポイント

  • 不安が強い → SSRI(レクサプロ・ジェイゾロフトなど)が第一選択
  • 意欲低下・痛みが強い → SNRIが検討される
  • 不眠・食欲低下が目立つ → NaSSAが向くことがある
  • 以前の治療歴(効いた薬・効かなかった薬)も重要な判断材料

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まとめ

  • 抗うつ薬は主にSSRI・SNRI・NaSSA・三環系の4グループ
  • 副作用は飲み始めに出やすく、多くは時間とともに軽減する
  • 依存性はない。急な中断は避け、医師の指示で減薬する
  • 効果発現まで2〜4週間。焦らず継続することが大切

【免責事項】本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状が続く場合や気になることがある場合は、医療機関を受診してください。

著者:精神保健指定医・長友恭平(よつば加納クリニック院長)

参考文献

  • 日本うつ病学会「うつ病治療ガイドライン 第2版」(2016年、2024年補遺)
  • 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル:セロトニン症候群」
  • NICE Clinical Guideline CG90: Depression in adults(2009, updated 2022)
  • Cipriani A, et al. “Comparative efficacy and acceptability of 21 antidepressant drugs.” Lancet. 2018;391:1357-1366.

この記事の著者

長友 恭平(ながとも きょうへい)

精神保健指定医 / よつば加納クリニック 院長(宮崎県)
宮崎大学医学部卒業|専門:心療内科・精神科

よつば加納クリニック

心療内科・精神科|宮崎県

記事の内容についてご不安な方・受診をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

🩺 院長コメント(長友 恭平)

「抗うつ薬は一度飲んだらやめられない」という心配をよく聞きますが、適切なタイミングで適切な手順で減薬すれば、多くの方が離脱なく終了できます。薬への恐怖から飲まずに苦しんでいる方に、正確な情報をお伝えすることも私の仕事だと思っています。

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