👉 更年期とメンタルの全体像については「更年期とメンタル不調|イライラ・気分の落ち込みは更年期うつかもしれません」をご覧ください。
「更年期障害は女性の病気」と思われがちですが、男性にも更年期障害があります。正式にはLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれ、40代以降にテストステロン(男性ホルモン)が低下することで心身にさまざまな症状が現れます。
男性更年期の主な症状
| カテゴリ | 症状 |
|---|---|
| 精神症状 | イライラ、不安、気分の落ち込み、意欲低下、集中力低下、不眠 |
| 身体症状 | 疲労感、筋力低下、関節痛、発汗、ほてり |
| 性機能 | 性欲低下、勃起障害(ED)、朝立ちの減少 |
これらの症状はうつ病と非常によく似ているため、「うつ病」と診断されて抗うつ薬を飲んでいるが改善しない——というケースで、実はテストステロン低下が原因だったということがあります。
セルフチェック(AMSスコア)
以下の項目に心当たりがあれば、泌尿器科や精神科で血液検査(遊離テストステロン値)を受けることをお勧めします。
- □ 理由もなくイライラする
- □ 以前楽しめたことに興味がわかない
- □ 仕事の能率が落ちた
- □ 寝つきが悪い、または途中で目が覚める
- □ 性欲が明らかに減った
- □ 筋トレをしても筋肉がつきにくい
- □ お腹周りの脂肪が増えた
診断方法
- 血液検査:遊離テストステロン値を測定(基準値:8.5pg/mL以上)
- 採血は午前中(朝10時頃まで)が推奨される(テストステロンは朝が最も高い)
- 8.5pg/mL未満 → LOH症候群の可能性が高い
- 8.5〜11.8pg/mL → グレーゾーン(症状があれば治療を検討)
治療法
テストステロン補充療法(TRT)
- 注射(エナント酸テストステロン):2〜4週間ごとに筋肉注射
- 日本では注射が主流(塗り薬は一部で使用)
- 効果:意欲・気分・性機能・筋力の改善(多くの場合2〜3ヶ月で実感)
- 注意点:前立腺がんのスクリーニング(PSA検査)が必須。多血症のリスクもあり定期的な血液検査が必要
生活改善
テストステロンを自然に高める生活習慣:
- 筋力トレーニング:スクワット等の大筋群トレーニングがテストステロンを上昇させる
- 十分な睡眠:睡眠不足はテストステロンを低下させる(7〜8時間推奨)
- ストレス管理:コルチゾール(ストレスホルモン)はテストステロンを抑制する
- 亜鉛の摂取:牡蠣・牛肉・ナッツ類
- アルコールの適量化:過度の飲酒はテストステロンを低下させる
うつ病との鑑別
40代以降の男性で「うつ症状」がある場合、テストステロン値の測定を一度行うことをお勧めします。抗うつ薬が効きにくいうつ症状の背景にLOH症候群が隠れていることがあります。
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本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状が続く場合や気になることがある場合は、医療機関を受診してください。
著者:精神保健指定医・長友恭平(よつば加納クリニック院長)
参考文献
- 日本泌尿器科学会「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き」2022年版.
- Bhasin S, et al. Testosterone therapy in men with hypogonadism: an Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018;103(5):1715-1744.
- Iwamoto T, et al. Late-onset hypogonadism (LOH) and quality of life. Int J Urol. 2009;16(2):126-32.
長友 恭平(ながとも きょうへい)
精神保健指定医・精神科専門医|よつば加納クリニック院長
🩺 院長コメント(長友 恭平)
男性の更年期は見過ごされやすいです。「やる気が出ない」「イライラする」「気力が落ちた」という訴えで受診し、テストステロン低下が判明するケースがあります。精神科的評価とともに、必要に応じて泌尿器科との連携も行っています。
ちなみに、決定すること・考えること自体もコストです。毎日の食事選びをラクにしたい方は時短×健康ブログもどうぞ。

