更年期うつは普通のうつ病と何が違う?ホルモン療法と抗うつ薬の選び方

気分障害

👉 更年期とメンタルの全体像については「更年期とメンタル不調|イライラ・気分の落ち込みは更年期うつかもしれません」をご覧ください。

45歳から55歳頃の更年期に、気分の落ち込み・イライラ・不眠・意欲低下が目立つようになることがあります。「これってうつ病?」と不安に感じる方もいれば、「更年期だから仕方ない」と我慢している方もいるかもしれません。

更年期のメンタル不調にはホルモンの変動が大きく関わっているため、一般的なうつ病とは治療アプローチが異なります。

更年期うつと一般的なうつ病の違い

更年期うつ 一般的なうつ病
発症年齢 45〜55歳に集中 どの年齢でも発症しうる
主な原因 エストロゲンの急激な低下 ストレス・遺伝・脳内物質の変化
身体症状 ホットフラッシュ・発汗・動悸・関節痛 食欲低下・体重変化・疲労感
気分の特徴 イライラ・焦燥感が目立つ 悲哀・興味の喪失が中心
治療 ホルモン補充療法(HRT)が有効なことがある 抗うつ薬(SSRI等)が第一選択

ホルモン補充療法(HRT)

更年期症状の根本原因であるエストロゲン低下を補う治療です。

  • 効果:ホットフラッシュ・発汗・不眠の改善。気分の安定化にも効果がある場合がある
  • 形態:貼り薬(パッチ)・塗り薬(ジェル)・飲み薬
  • 注意点:乳がん・血栓症のリスクとの兼ね合いがあるため、婦人科医と相談のうえ判断
  • 開始時期:閉経前後の早い時期に始めるほど効果が高い(「タイミング仮説」)

抗うつ薬(SSRI/SNRI)

HRTだけでは気分の改善が不十分な場合、または明らかなうつ病の診断基準を満たす場合は、抗うつ薬の併用が検討されます。

  • SSRIはホットフラッシュそのものにも効果があるとの報告がある
  • エスシタロプラム〔レクサプロ〕やベンラファキシン〔イフェクサーSR〕が研究で有効性が示されている

漢方薬

更年期のメンタル不調には漢方薬が使われることもあります。

  • 加味逍遙散:イライラ・不安・不眠に。更年期に最もよく使われる漢方
  • 当帰芍薬散:冷え・むくみ・めまいを伴う方に
  • 桂枝茯苓丸:のぼせ・頭痛・肩こりが目立つ方に

漢方薬は副作用が比較的少なく、HRTが使えない方にも選択肢となります。ただし、効果発現に2〜4週間かかることがあります。

生活面でできること

  • 有酸素運動:週3回・30分のウォーキングで気分・睡眠・ホットフラッシュが改善するとの報告がある
  • 睡眠衛生:寝室を涼しく保つ、吸湿性の良い寝具を使う
  • 大豆イソフラボン:エストロゲン様作用があり、軽度の症状緩和に役立つ可能性がある(豆腐・納豆・味噌汁)
  • 一人で抱え込まない:パートナーや家族に更年期の仕組みを伝え、理解を求める

受診の目安

以下のいずれかに当てはまる場合は、精神科または婦人科の受診をお勧めします。

  • 気分の落ち込みが2週間以上続いている
  • 仕事や家事が手につかないほどつらい
  • 死にたいという気持ちが浮かぶ
  • ホットフラッシュや発汗がひどく日常生活に支障がある

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本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状が続く場合や気になることがある場合は、医療機関を受診してください。

著者:精神保健指定医・長友恭平(よつば加納クリニック院長)

参考文献

  • Maki PM, et al. Guidelines for the evaluation and treatment of perimenopausal depression. J Womens Health. 2019;28(2):117-134.
  • 日本産科婦人科学会「ホルモン補充療法ガイドライン」2017年版.
  • 日本女性心身医学会「更年期障害の診療ガイドライン」

よつば加納クリニック(心療内科・精神科)

宮崎市の精神保健指定医が、お一人おひとりのお話をじっくり伺います。

長友 恭平(ながとも きょうへい)

精神保健指定医・精神科専門医|よつば加納クリニック院長

🩺 院長コメント(長友 恭平)

診断のためには詳しくお話を伺う必要があります。婦人科と協力して治療を進める場合もあります。

ちなみに、決定すること・考えること自体もコストです。毎日の食事選びをラクにしたい方は時短×健康ブログもどうぞ。

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