「精神科に受診したことが会社にバレたら困る」「家族には知られたくない」——こうした不安から受診を躊躇している方も多くいらっしゃいます。結論を先にお伝えします。原則として、あなたの受診歴や病名は、本人の同意なく第三者に伝わることはありません。
医師には守秘義務があります
医師は法律(刑法134条・医師法)により、患者さんの個人情報・診療内容を第三者に漏らしてはならないという守秘義務を負っています。これは精神科に限らず、すべての診療科で共通のルールです。
したがって、勤務先の会社・学校・家族(ご本人が未成年・成年どちらであっても)に、本人の同意なく診療内容を伝えることは、原則として禁止されています。
健康保険を使うと会社にバレる?
会社員の場合、会社の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)を使うことに不安を感じる方もいらっしゃいます。
通常は問題ありません。保険診療の内容が会社の担当者に個別に通知されることはありません。ただし、家族の扶養に入っている場合、「医療費のお知らせ」が世帯主あてに届く場合があります(診療科名が記載されることがあります)。
プライバシーをより強固に守りたい場合は、自費(保険を使わない)診療を選択することもできます。初診時にご相談ください。
家族への情報提供について
成人の患者さんについては、家族であっても、本人の同意なしに診療内容をお伝えすることは原則できません。ただし、以下のような例外的な場面では、医師が状況に応じて判断することがあります。
- 自傷・他害のリスクが高く、本人の安全が脅かされている場合
- 判断能力が著しく低下しており、本人の意思確認が困難な場合
それ以外の場合は、ご本人の了解を得てから家族への情報提供を行います。「家族には知らせないでほしい」という希望は、初診時にお伝えください。
未成年の場合
未成年の場合、保護者の関与が必要になる場面があります(詳細は「未成年者の単独受診はできるか」をご参照ください)。ただし、未成年であっても、できる限り本人のプライバシーに配慮した対応を心がけています。
診断書・証明書類について
会社や学校から診断書を求められた場合、作成するかどうかはご本人の判断です。医師がご本人の同意なく第三者に診断書を発行することはありません。
まとめ
精神科・心療内科の受診歴は、本人の同意なく外部に伝わることは原則ありません。プライバシーに関するご不安がある場合は、初診時に遠慮なくご相談ください。
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参考文献
- 日本精神神経学会「患者の秘密保護に関する指針」(2022年)
- 厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(2023年改訂版)
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著者:長友 恭平(精神保健指定医 / よつば加納クリニック 院長)|最終更新:2026年4月

