うつ病の症状・原因・治療を精神科医が解説|抗うつ薬だけでは治らない理由

気分障害

うつ病は生涯で約15人に1人が経験する、脳機能の病気です。女性は男性の約2倍の頻度で発症します。「気のせい」「根性が足りない」といった問題ではなく、脳内の神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリンなど)の調節異常が関係しています。

うつ病の診断基準

以下の症状のうち、「抑うつ気分」または「興味・喜びの喪失」を含む5つ以上が、2週間以上ほぼ毎日続く場合にうつ病と診断します。

  • 抑うつ気分(悲しみ・空虚感・絶望感)
  • 興味・喜びの喪失(以前楽しめたことが楽しめない)
  • 体重・食欲の変化
  • 不眠または過眠
  • 焦燥感または行動・思考の遅れ
  • 疲労感・気力の低下
  • 無価値感・過剰な罪責感
  • 思考力・集中力の低下
  • 死についての反復思考・自殺念慮

薬物療法と心理療法を組み合わせる理由

抗うつ薬(特にSSRI・SNRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬))はうつ病の急性期治療に有効であることが示されています。しかし、薬だけでは再発を防ぐことが難しいとされており、心理療法(特に認知行動療法)との組み合わせが長期的な回復に有効です。

認知行動療法(CBT)の役割

うつ病に対する認知行動療法は、多くの無作為化比較試験でその有効性が示されています。「全か無か思考」「過度の一般化」「マイナス化思考」といったうつに特有の思考パターンを見直し、より現実的・バランスのとれた考え方を身につけます。

休職・復職について

うつ病で仕事を続けることが難しい場合、主治医が「休職が必要」と判断すれば診断書を作成できます。無理して仕事を続けることは回復を遅らせる場合があります。十分に休養し、段階的に復帰することが再発予防につながります。

治療期間の目安

うつ病の治療は一般的に、症状が消えた後も維持療法が推奨されています。日本うつ病学会ガイドラインでは、初回発症の場合は症状消失後6ヶ月以上、2回目は1〜2年、3回目以降は長期間の継続が推奨されています。自己判断で薬を中断すると再発リスクが高まります。

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参考文献・出典

  1. American Psychiatric Association. DSM-5 Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. APA. 2013.
  2. 日本うつ病学会. うつ病治療ガイドライン(第2版). 日本うつ病学会. 2023.
  3. Kessler RC, et al.. The epidemiology of major depressive disorder: results from the National Comorbidity Survey Replication. JAMA. 2003.
  4. Cipriani A, et al.. Comparative efficacy and acceptability of 21 antidepressant drugs for the acute treatment of adults with major depressive disorder. Lancet. 2018.
  5. Cuijpers P, et al.. Efficacy of cognitive-behavioural therapy and other psychological treatments for adult depression: meta-analytic study of publication bias. British Journal of Psychiatry. 2010.
免責事項:本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の個人に対する診断・治療を目的とするものではありません。体調に不安がある方は必ず医療機関を受診してください。
著者:長友 恭平(精神保健指定医 / よつば加納クリニック 院長)|最終更新:2026年4月
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